書のあゆみ
-BC200年までの書のたび-
篆書とその歴史
平成13年発行 \3,000(税別)
書は単に筆を持って紙に書くだけで楽しいものです。
その点や線が構成され形になると、文字となり意味が生じます。
その文字も1000年、2000年経つとそれぞれ形を変えます。
その文字は自然の力で選びぬかれて書の古典となります。
書の古典は書の学習にとって重大なものとなります。
書の歴史も雄大です。
少しでもこの古典を理解することが出来ると、書がいま以上に楽しくなります。
人が生きていたこと。悩み、笑い、苦しみ、怒り、夢見たことを感じます。
書かずとも見ているだけで、時には一緒にほほ笑み、一緒に涙を流すこともあるでしょう。
時には甲骨の中にも自分を見出す事があります。
木簡や石碑の中にも…。
古典を見て書くことを臨書すると言います。
臨書する時は自分の真正面に拓本をおいてよく見て、そして左におき直して書きましょう。
時には石碑が建っている所にも旅をしましょう。
昔の人が歩いた道を歩くことによって、昔の人の心も理解できるかもしれません。
この本はひとつの足掛かりです。
好きな古典に出会ったら迷わずその拓本の全体を臨書してみましょう。
そして、学んだことは忘れることです。これが大切なことです。
そして、再び筆を持って紙に書き、楽しんでみましょう。
それでは現代までの書の旅を、何年かかるかわかりませんがご案内いたします。
まず篆書についてです。
雁塔聖教序に関する記録
平成15年発行 \10,000(税別)
1997年と1998年の二度の訪中は私にとって忘れることの出来ないものとなってしまいました。西安の旅は1978年にさかのぼります。初めて雁塔聖教序を見学しました。左右両碑の原石の前には鉄格子があり、暗くて写真はとれませんでした。次の見学の時には碑の上に拓本が貼られ直接碑面を見ることは出来ません。“どうしても”の気持ちで、原石の見学許可の申請を行い続けて約20年。上海市人民対外友好協会・西安市人民対外友好協会のお力添えで、1997年と1998年の二度、西安市大雁塔文物保管所から特別の見学許可を頂きました。拓本と鉄格子が取り除かれ、ベールに包まれた序碑と序記碑の碑面に息がかかる程の距離で見学と接写が出来ました。拡大した写真を基に調査した結果を主体に、一文字の中の修正線の数の調査や、書体の移行、即ち当時の書体に対する意識と褚遂良の心理的変化を中心にまとめてみました。
≫見本を見る書のあゆみ
-BC200年からAD220年までの 書のたび-
隷書とその歴史
平成15年発行 \3,000(税別)
隷書の学習において注意する事は、隷書は漢の時代のものが基本であるから漢碑に表現されている隷意の理解を充分におこなうことが求められます。その上に隷意をどう筆意に結び付け表現出来るように学習することが要求されます。
始めは木簡の中にある隷意の理解から、次第に色々な隷書の学習へと進展させ、蔵鋒を理解することにより、蔵鋒をどの様に表現することが出来るかであり、波磔を理解することにより、波磔をどの様に表現することが出来るかであり、波磔を理解することにより、波磔をどの様に多く表現することが出来るかの学習も求められます。その上に文字の造形やかすれ、文字の空間の処理を考えなければなりません。
書の深い学習を望む時、隷書の学習と鑑賞は不可欠なものであり、学習の努力に期待しています。
荒金大琳の書 SHO・50
平成9年発行 \3,000(税別)
私のこれまでの書のあゆみをひもといてみました。
その中からまた、新しい作品が生まれることを願ってであります。
どれもこれも師金子鷗亭先生をはじめ諸先生方のおかげであります。
まずい作品もありますがお許し下さい。
第34回大琳書道会展
-荒金大琳と仲間たちの書-
平成23年発行 \3,000(税別)
今年は私が書の古典の学習を始めて45年、また別府大学において書の指導を行い始めて25年になります。その間、日本および中国の書の古典の学習を貫いて参りました。この節目の歳に、私が別府鶴見丘高校・別府青山高校等に勤務した際の教え子と、別府大学の教え子たちが結成した大琳書道会は今年で34年を迎えました。現在では彼らも高校の教員や、書塾の指導者、書作家として活動しています。
「草色々 おのおの花の 手柄哉(芭蕉の句)」の様に私は彼らの製作態度を尊敬しています。この際是非、この仲間たちの作品をご観覧の上ご批評いただきたく、掲載いたしました。
また、中央書展でも入賞した別府大学の学生5人の作品も将来を期待して特別に展示し、日田に建立されている「廣瀬淡窓先生の書碑の拓本」も特別集録しました。
金子鷗亭書体字典
平成8年発行 \30,000(税別)
※ホームページを見ていただいた方には¥15,000にいたします。
この書体字典の内容はこれまでのものと異なる点が幾つか在ります。
その一つは、行書の分類を二つにしている点です。楷書を速く書いた行書だけでなく、隷書を速く書いた行書表現(木簡等)を隷書のところに表記している事です。これを大琳君は非正書体として提示していますが、このグループの文字群からは私の近代詩文書作品作成における漢字と仮名の調和に務めたその苦労の跡をなつかしく見ることができます。
もう一つは、私の臨書作品と創作作品の両方の一文字一文字に揮毫の年代表記が加えられ、時には文字の造型別に、揮毫年代別に並べられ、私の歩みをじっくり見ることが出来ます。
この書体字典の作業中、幾度か原稿を見せてもらいましたが、これ程の量の文字をよくこれまで書いたものだと他人事のように驚いています。それは師比田井天来の書学の理念である臨書の重要性を受け継ぎ、創作と同時に数多くの臨書作品を事あるごとに発表することが出来たからでありましょう。大琳君が持参した私の揮毫文字はここに示したものの数倍はあり、実に気の遠くなるような作業の積み重ねの上に出来あがったこの書体字典を見る時、この大変な仕事を毎日続けてこられた大琳君に敬意を表します。
近代詩文書を学ぶ人は漢字の造型は勿論のこと、しっかりと、平仮名を学んでほしい。漢字は書けても平仮名で失敗してしまう人が多く、この本は近代詩文書や調和体を志す人の座右の銘になると思います。是非一読の上、創作発現の役に立てて下されば幸甚です。
荒金大琳の書
平成4年発行 \3,000(税別)
私は文月菜々子(妻・節子)の詩を20年揮毫して来ましたが、その一つ一つの詩を詩集「ぬくもり」として、この度出版することとなりました。「この際文月菜々子の詩を素材とした作品を中心に個展を開催しては…」の友の声に励まされ五年ぶり、六回目の個展を開催する運びとなりました。
この度の個展は次の三つの項目に分けて開催いたしました。
1、文月菜々子の詩を揮毫した書作品50点。
2、創作作品62点。
3、私の書の基盤である書の古典、殷から唐までの臨書作品88点。合計200点を大分トキハ会館二階にて展示致しました。
ただ精一杯歩んできた現在の私の姿で在ります。
私は自分の書の学習と、学生に対して家族同様にいやそれ以上に接し、何とか高等学校の素晴らしい先生に育てることを別府大学で努力を重ねています。
平成4年度の日展に九回目の入選が出来たのも、いま私たち家族が現在無事に、何かと書道一筋に生きていけるのも一重に金子鷗亭先生の後ろ盾があったからであります。
そして、書道の学問的研究ができるのは西村駿一先生の温かいご配慮のお陰であります。
この事は、私の心の宝物で有ります。そして又、両先生から心温まるご祝辞と賛助出品までいただき、身に余る光栄な事と感謝致しております。
恩師である首藤春草先生から玉作をいただき、身に余る光栄な事と感謝致しております。
これからも一層の努力を重ね、金子鷗亭先生が築かれた現代書の道を古典の上に置き、歩んで参りたいと思います。
これからも皆様方より尚、一層のご指導とご鞭撻を承りたく存じます。